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プロフィール

吉井 信隆(よしい のぶたか)

インターウォーズ株式会社 代表取締役

大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。

現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事

第148回 「これからの日本の活力を生むには」

2010年03月01日

 21世紀の幕開けの2001年、9年前の元旦のコラムに、以下のようなメッセージを書きました。

 「21世紀を迎えた今、20世紀を眺めてみると「国」から「会社」、そして「個人」へと重心が移動しているように見えてくる。その要因として、企業の寿命が確実に短くなっているからと思う。更に今後、グローバル化・国際競争激化・成熟化社会へと向かい、各国の企業の急激なイノベーションと技術変化により、企業組織の寿命はいっそう短くなり・・・昨今は多くの企業が、グローバル化へとシフトすることによって、同一価格でいかなる原材料も手に入れられ、国際競争優位は得られなくなってきている。今後、繁栄する企業間の格差はますます歴然となると思える・・・」
 その後、9年の歳月が流れ、現況を迎え、これまでにないパラダイムシフトが起こっています。

 この10年間、国際競争力を失った低迷している日本経済にとって、私は、新たな日本の活力を創生する期間が、2000~2005年にあったと思います。
 21世紀の幕開けの5年間、インターネットの普及によって知識仕事人が創生され、ベンチャー市場の活況、規制緩和と日本経済の活性化へのイノベーションが起こり、意欲ある人々がベンチャー企業を興し、IPO企業が数多く創生され、大手企業に挑戦する流れや、大手企業においても企業内起業やM&Aの勃興が起き、起業のウェーブができました。
 この頃、新しい産業や企業を育成しないと日本の未来はないといった気運が高まり、企業内起業家やベンチャーにスポットが当たり注目を浴びていました。

 しかし、嫉妬に満ちたマスコミや経済団体の年配経営者達が、ベンチャー企業を批判し、叩き、せっかくの芽を摘んでしまいました。好感を持てない言動や行動をしていたベンチャー経営者や投資家がいたのも事実ですが、残念なことにベンチャー企業がすべて対象にされてしまいました。
 その結果、罪人でもないのにマスコミがベンチャー経営者の金銭や恋人関係まで記事にし、ベンチャーの株価は一気に冷え込み、日本の未来の活力を失ってしまったように思います。その後の2006年以降、経済は後退し、日本は貴重な成長のチャンスを自ら潰してしまったのではないでしょうか。

 一方、昨今のJALのニュースを始め、国の支援という名のもとに桁外れの税金が使われ、富の創出に目を向けない政権による、国債を発行することによって財源を確保する国の経営は、40兆を切る収入で、92兆も支出するP/L B/S、の現況は、本当に「おかしい」。そして、このことに声を上げない静かな日本国民に危機を感じます。見方によっては、第二のアルゼンチン化に、向かっているという見識者もいます。

 私は、創業期から起業家の創生が日本の雇用を生む手段だと考え、尊敬する経営者と共に501社の起業支援を目標に活動しています。我々の活動は小さな試みでしかありませんが、志を持つ企業経営者や、富を手にした方々が、一人でも多くの起業家を支援することによって、世界に通じる企業を育て、一人でも多くの雇用が創造されることを支援して欲しく思います。
 そして、その為には、「ノブレス・オブリージュ」(富を得た者の社会貢献)の精神を持ったリーダーと、それを支えるチームが、今一度、21世紀の幕開けを教訓に、社会起業家を創生する流れを一体となって起こすことが、これからの元気な日本社会を築く道の一つだと思っています。

転職にあたり

2010年02月16日

 過日、ブランド企業の40代半ばの方から、次のような相談をうけた。
「これまで順調に会社と共に自身も成長してきたが、昨今のパラダイムシフトによって、これからの自分自身の残された15年の仕事生活を考えると、果たして現状でいいのだろうか?と、疑問と不安を持ってしまった。日本の現状や業界や自身の企業の活力のなさの中で、コスト削減で、共にしてきた先輩や同僚が会社を退職していく姿をみていると、これからのキャリアイメージが湧いてこないこない。 業界以外で、いいところはないだろうか?年収は、できればこれからお金もかかるので今より上げたい」とのことであった。
 「先々、あなたは、どんな目的を持って、何を実現したいのですか?」と、尋ねると言葉が返ってこなかった。今の職場にその辺が確認できるまで留まることを勧め、「年収を上げたいというのであれば、あなたの持っているすべての資源をアウトプットしてゆかないと難しい。また、業界を変えることは、もう一度様々なことを勉強しないといけない訳で、迎える企業はあなたに投資することになるのだから年収をダウンさせ入社に臨むスタンスが肝要だと理解した方がいい」とお話させていただいた。
 仕事に対する目的をよく確認したうえで、迷いなく全力でその仕事に打ち込んでいかないと、結果的に転職を繰り返し、50代になっても自分の居場所探しをしてしまっているケースが多い。
 目の前の山を登りきったら、360°周りが見える。皆、先々は不安を抱えている。先が見えないのは、自分自身が、先を見ようとする努力をしていないからであって、上司や会社のやり方が気に入らないとか、報酬が安いとか、仕事が向いていないとかなんだかんだと理由をつけて、今の職場から逃げ出して、楽な方へと転職しても、また次の職場でも同じことが起きる。
今の仕事に全力投球して、やり抜けばきっと新たな扉が開いてくると思う。

「19社」

2010年02月15日

 この数字は、2009年にIPOした企業の社数です。
 1980年以来の社数になってしまいました。私は、未来の日本の活力は、起業から企業にダーウィンの進化論のように、成長していくことにあると信じていますが、たいへん淋しい数値です。
 しかし、そんな中にでも、医薬品、バイオ関連が最も多く6社、ITが3社となっているところに曙光を感じます。

 IPOの最大のメリットは、市場から資金を調達し未来へのスピードを高め、古い産業から、未来の産業へと、人材も含めパワーシフトし雇用を創造していくことにあります。
 閉塞感漂う現状の日本経済が活力を取り戻すためにも、一人でも多くの起業家の出現と、それを支援する関連企業が、地方を含め出現するように、国も企業も個人も、回復へ真剣に考え行動していかないと、本当に日本の未来はないことを、声を大にして言いたい思いです。

 現政権に、本質的な富を創出する政策を期待したいが、それがムリだとしても、企業の成長の邪魔をするような税の負担や、規制をかけないで欲しいものです。
 私は、起業家への投資やインキュベーション支援をすることは「信じる」ことだと思っています。
 判断基準で大切なことは、自分で感じる未来のあり方に投資していくことにあると信じてこれまで、15年やってきました。
 本当の意味で、パラダイムシフトが起こっている今、志を持った起業人が活躍できる時代を迎えたのではないでしょうか。ようやく、自立自律社会が到来し、一人ひとりが自分の信じる生き方と自己責任社会になり、競争と強調、そして、共創にそのキーがあるように感じてならない昨今です。