
大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。
現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事
第10回 光の人
2000年03月15日
このところ華々しく成長した企業が店頭公開でピーク・アウトしてしまう例が後をたたない。景気後退・競争激化・市場飽和・商品陳腐化、サービス陳腐化・・・は、原因の一つではある。それは、どの企業もいつか遭遇する必然の事態であり、本質は環境変化を感知し、素早く対応出来る企業とそうでない企業の違いの問題である。そして、企業はリストラという号令を出し、すっかりこの言葉が定着し、至るところで使われている。永引く不況で、相変わらず減収、減益と発表している企業が多い。いつしかその対応策が「リストラ」という表現になり、それがほとん方々の共通言語として使われるようになった。そしてその内容といえば、どうも人員削減による労務費の切り詰めという施策になって表われるところが多い。今、使われている「リストラ」とは人減らしであり、昔で言うところの口減らしである。それが故にマイナスイメージをまとっている。
本来リストラとは、事業の再構築であり、単に目先の事業の一般管理者の縮小のP/Lの数字合わせに走ったものでなく、抜本的に事業生命力を持ったものにしてゆく施策のことである。『事業にはヴィジョンがあり、その為のコア・コンピタンスなるものがなければならない』
科学的に分析して、理論を組み立てても事業は儲かるものではない。そこには経営者の示すヴィジョンとこだわる理念が必要である。そしてこれを事業として「いける」---「やりたい」という直感的洞察力が求められる。経営者自身が自らの思いで「オレはこういうことをやりたいんだ。皆ついてこい!」・・・このヴィジョンと強い意志が明確だと社員は「意気に感じて」動く。事業がうまく回らないとき、フットワークが落ちてしまい人に会わないようなリーダーに、社員が「意気に感じる」はずがない。いくら計画を理論的に作ってみたところで、それを実行するエネルギーはもっと泥臭いものである。だからそれだけでは成功するはずがない。また、事業経営とは今ここに、現場にあるはずである。そこから「オレはこうしたいんだ」というリーダーの思い入れがあってこそ全メンバーの共感を呼び、エンジンがかかる。一人の強烈な「先を照らす光」が必要な時である。
そういえば、最近の大企業の経営者の中に、そういう魅力のある「思い入れの光を照らす」ほどを語る人は思いだせない気がする。平成大不況は確かだ。構造的不況もそのとおりだ。新しい道を選択しなければならないことも解る。しかしそれだけでなく、今を見つめ、問題点を設定し、創業期の風土を失うことなく、ヴィジョンを共有し、今なす施策を設計して一人ひとりの総力エネルギーが、いかに顧客との接点にむけて集中するのか。リーダーの強い意志を持ってメンバーの先を照らし、今できるところから「小さな差異」を実行してゆくことが、低迷抜け出す道である。

投稿者: 吉井 日時: 16:57 | パーマリンク