
大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。
現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事
第16回 「アライアンス」はベンチャー・成長の条件
2000年06月15日
このところ、突然、スーパースターのようなベンチャー企業が誕生し話題となることが多い。その背景に、共通の企業戦略がある。その正体は、「アライアンス」(alliance)。もともと軍事同盟という政治的な意味で使われてきた。しかし、今日では「事業の提携」、「企業間の同盟」といった、相互補完的な企業同志、特にベンチャー企業同士のつながりを意味する。企業が、それぞれの強みを生かして、弱いところは、相互補完し合い、限られた経営資源(人・技術・金・情報)を生かして、互いの目的を実現する同盟である。
合併でもなく、下請けでもない、単なる事業提携とも違う、小規模な企業が、大企業とのボーダレスの時代の中で、力強く優位に成長し続けてゆくには、アメリカのベンチャー企業のように、多くの企業とのアライアンスを組むことにある。
最近、気になった実例で、地方のある金型メーカーのT社。この企業は、大手自動車メーカー指定の金型工場である。永年、自動車メーカーのボディや、ミッションの金型を作る工場として、存続して来た会社である。しかし、今日の車販売状況による影響を受け、全体の工場の60%位しか、稼動していない状況下に昨年まであった。手だての一つとして、インターネットを通じ、会社の紹介をしたところ、栃木のベンチャーメーカーから、「自社で○月までに、納品をしなければならない仕事があるのだが、共にやってもらえないか。」との連絡が入った。T社の技術、生産力に目をつけ、まったくドメインの違う企業同志ではあるが、同盟を結び、結果、これまでにない、安定した事業を共創するに至っている。
こういった、これまでに見受けられることのなかった様々な企業間のつながりは、同業種だけに留まることなく、異業種間の企業同志を結ぶ、多くのケースが日本にも生まれつつある。
アライアンスは、一過性の戦略ではなく、技術革新により、スピード経営が問われる今日の状況下では、特に重要な戦略である。
なぜなら、どんな大手企業でも、数多くの分野での研究開発や、多地点をカバーする形で、生産、マーケティング、販売を、同時に行う事は、いくら人材や資金があっても出来ないからである。
この傾向は、ソフト化に進化すればするほど、助長される。シェア競争でない、新たなバリュー(価値)を創出してゆく企業こそが、今後発展してゆく。実践の中から生み出された、ベンチャーのこれからの生きぬいてゆく方法論は、信頼できる創造力を持った、企業とトップがダイレクトにつながる、アライアンスにある。

投稿者: 吉井 日時: 17:05 | パーマリンク
第15回 ボード
2000年06月01日
経営は、「経営チーム」によって決まる。以前はよく、CEO、COO、CFOの3人の役割によって決断がなされ、それぞれの役割で事業を推進してゆくことによって、回っていた。しかし、最近のITの進化によって、どうもこれまでのチームの編成では、意志決定並びに事業を展開してゆけなくなって来ているように思える。
例えば、経営を軍隊に例えてみると、最近の技術の目覚しい発展によって、武器に通じた人材、つまりCTO的ポストが、ボードに入っていなければ、シナリオも決断もできない。また、環境変化に富んだ状況下において、既存の常識や既存の体制は継続することは、危険ばかりではなく、自らの組織の未来をたつことも大いに考えられる。
そういった流れの中で、最近ではCDO『Chief distractive officer:最高破壊責任者(組織内の不要な業務や不要な部署を徹底的に統廃合、廃止などの破壊的な業務に取り組む責任者)、CSO『Chief Strategic officer:最高戦略責任者(中長期戦略を現状把握しながら策定し、実行する責任者)』CCO『Chief Communication officer:最高コミュニケーション責任者(組織内のコミュニケーションを円滑に行わせ、社内の意志や意見を潤滑に行うことの責任者)』CKO『Chief Knowledge officer:最高知識集約責任者(社内に流れる口に出さない、目に見えない知識を取りまとめて、組織に貢献できるよう取り計らう責任者)』などが、環境変化対応責任者的な役割として、各企業のエグゼクティブ・チームの中に生まれていっているのが現実である。「その環境を見極める、そしてその環境に最適化するには、どのような手法が考えられるか立案・実行する。」従来なら最高意志決定者が行ってきたことも、タスク分担し、チームで一丸となって解決していくことが最重要課題となってきている。
経営は、環境適応業である。最近のマーケットの変化にいかに適応し、対応してゆくかを予知し、事業デザインしてゆく、新たな役割を担ってゆく、ボードメンバーを時代は求めている。

投稿者: 吉井 日時: 17:04 | パーマリンク