
大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。
現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事
第22回 起業成功のコア
2000年09月15日
いまや、起業環境は整った。これから、必要とされるのは、「起業家たるにふさわしい人物、そして、志を共に350日同じ夢を追いかける同士結束のチーム」である。
私が起こした会社、インターウォーズの理念は、創業の時から「企業家輩出道場であろう・・そして、こういった起業人と人の出会うプラットホームを創ろう!」という思いからであった。急成長を実現するためには、何よりも信頼の絆によって結ばれた人財が必要であり、すべてはここから始まる。
かつて、1981年から1986年までの期間に設立された企業数が約130万社であるのに対し、上場できた会社は10万社に3社の狭き門であった。ここ数年は150社に3社が対象となっている。
では、いったいどういったベンチャーが、成功するのか?
多くの日本人はベンチャーという言葉をアドベンチャーと同意語のように考えている。アメリカ人がイメージする“冒険”とベンチャーはイコールではない。変化よりも安定を求める一般的な日本人の感性と異なり、多くのアメリカ人にとって人生はリスクに満ちたものであり、自己実現をテーマとしてとらえている。
「ベンチャービジネスとはいったい何か?」
どのようなノウハウや意識がそれを可能にしているのか、徹底的に様々な立場の皆さんと議論を重ね、答えを求めつづけ、定義を決めた。
最も大切だと全員が認めた定義の条件は“ベンチャーは人的資源に依存する”、つまり人こそが全てのビジネス活動の原点であり、まず起業ありきではなく、まず人ありきなんだということからスタートしているチームが、今も昔も成功している。
そして、次へのステップの第一条件は、理念が不可欠であるということ。
<起業の理念>がなければ人を感動させることができない。
人を感動(感じて動く)させることができなければ、実績もない着想だけのベンチャー起業に、人が集うことはなく、資金を投じてくれる人を見つけることなどできない。
次に、<事業構造を描く>こと。
起業の理念を確立することができれば、次は事業構造を描かなければならない。
事業構造とは、社会において、その企業がどのような枠組みの下で、どのような基盤の上に存在することになるのかについてのラフ・デザインである。
起業家がどれほど懸命にその構築物(企業)を建設、維持しようと努力しても、その構築物を建設しようとしている土台(基盤)が脆弱であれば、構築は不可能である。
自分が考えている事業を支えてくれるパートナー的存在は創り得るか?創り得るとすれば、それは十分に強力なものなのか?
起業を成功させるためには、事業基盤であるマーケットが確かなものであるだけではなく、その事業を支援してくれるパートナーを獲得できるかどうかも、重要である。商品を販売しようと思えば、販路になってくれる流通業者や、商品を卸してくれる仕入業者の協力が必要であるし、サービスを販売しようと思えば、そのサービスを開発することに協力してくれる専門業者や、販売活動を担ってくれる代理店、あるいはフランチャイズ加盟店などが必要である。
これから起業しようというような段階では、いかにしてよき支援人=パートナーを獲得するかが事業成功の鍵となる。また、ベンチャーファンドなどを活用する際も、ベンチャービジネスを実践して成功させた経験を持ったキャピタリストや、本物のインキュベータ-を得ることが大切である。

投稿者: 吉井 日時: 17:11 | パーマリンク
第21回 起業から、企業へ
2000年09月01日
日本は今、起業の時代である。起業の手段の一つに、米国の成功モデルを輸入するあり方が以前からある。しかし、最近アメリカで話題になっているベンチャーを、単純に日本へ持ってきても、簡単に成功しないケースが多い。モノ作り中心の工業化社会では、欧米の成功ビジネスモデルを学び、そこに日本的なきめ細かさを付加することによって、十分キャッチアップでき本国より良い事業を創り出すケースは随分多かったように思える。
しかし、モノよりも知的価値が優先される知識社会に入ると、そういう手法で米国を乗り越える事業を育てることはむずかしい。
最近、国策として起業にたいし、様々な助成金をはじめ、エンジェル税制や、ベンチャーキャピタルにセーフティ・キャピタルといえるほどの、投資促進策を打ってきている。これまで、知的価値の高いベンチャー企業を育てる環境として、ベンチャーキャピタルが創業間もない小さな企業にリスクマネーを供給して、その企業が成功したら大きなリターンを得るというのは、ベンチャーキャピタルのほんの一面にすぎなかったが、「起業の環境」は、随分と極めて恵まれてきている。
ここ数年、日本ではインターネットの創業ブームが起こり、ネットバブルともいわれたの若き億万長者を数多く生み出した。しかし、どうも底が浅く、起業から企業に育ってゆけないところが気になる。
目指すゴールが、公開であり、事業基盤の確立でまいところに、問題があるように感じる。
過日、富士通社の社内ベンチャー制度から、生まれたアルファ・オメガソフトの社長の佐々木さんから「事業構造を創らなければ成功でなく、評価されない。」と・・そして来年公開する予定だがその後・・との話を伺った。 余韻の残る内容であり、目線が公開の延長にいっていることが、強く感じとられた。
「企業価値」が、とわれている昨今、起業から企業に、なる為の企てにこそ価値が生まれてくる。夢を追い求め、共感する仲間を増やし、真に応援してくれるメンターやインキュベーターを参謀にし、大きな企てを描いてゆくことが、独自の日本のモデルとして育ってゆく道と思える。

投稿者: 吉井 日時: 17:10 | パーマリンク