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プロフィール

吉井 信隆(よしい のぶたか)

インターウォーズ株式会社 代表取締役

大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。

現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事

第26回 企業内起業はなぜ成功しないか

2000年11月15日

 現状の事業の延長に未来は見えないと、大転換期の今こそ大企業も中小企業も新規事業に取り組んでいるが、「新規事業は苦労ばかり多く、なかなか成功しなく、断念している」ケースが跡をたたないとの声をよく聞く。
 失敗の要因の前に前提として理解しておいてほしいことは、企業として新しい事業だけに「知らないことが多い事業」であると定義すべきである。

要素は
第一に、顧客、販売方法、ルート、競合、などの市場。
第二に、製品、製造方法、技術、生産コスト、など製品、サービス

タイプは
1、多角型新規事業(住友金属鉱山のキンコ―ズ、などのケース)
2、市場開発型新規事業(ホシザキ電気のレストラン食器洗事業)
3、技術開発型新規事業(オリンパスの医学検査事業)

ということを事前に理解した上で戦略の選択をしてゆかねばならない。

 特に多くの大企業が失敗しているケースを、一言でいうならば、大企業経営ノウハウと起業のノウハウは全く違うという洞察が足りないからである。
 企業内で新規事業が生まれるケースは、経営層から発案されるか、ラインから提案されるか、(外から提案、持ち込まれるか)にある。いずれにしても、立ち上げ資源の大きな要素は起業家の選択にある。しかし、時として起業と対極をなすような人に依頼することが見受けられる。また、社内の既存事業との人材も含めた、資源獲得競争になるが、得てして稼ぎ手としての責任者の発言力に屈してしまうことになりがちである。
 このこと理解した上での、トップが責任をもち推進する為のトータルな支援判断をしなければ、成功はしない。

 次に、素人集団による審査、判断によって意思決定がなされているケースが意外なほど多い。過日、某大手企業の審査委員として、役員会議に参加させていただいた際、ITを「イット」と発言された創業時からの役員の方に出会った。人格豊かな立派な実績の持ち主の社内実力者である。サイバー社会における新規事業をテーマにしたこの会議は、市場や技術、製品に通じていない多くの幹部のおりなす独特の雰囲気の中で意思決定が行われていることに恐ろしさを感じた。

 また、社内関連部門の支援能力、意識の不足等もあげられる。多くの新規を任された個人の「つて」に頼って開発をしてゆかざるを得ない俗人的な動きになっているケースが多い。
 新規事業開発室、事業開発部とかいった名称のセクションの多くは、単なる事務的な役割しか果たしていなく、社内の新規事業を支援する専門組織になっていないことが多い。
 本来の役割は、社内外に対する政治的な活動も含めた、仲介コーディト、教育、メンターとして、事業計画の作成支援、資源の獲得支援、また、成長期においては内部支援システム支援といった専門のインキュベート機能が求められる。

 また、大企業全体のカルチャー、風土の中での管理・運営であるだけに、DOすることへの時間より、報告する時間に多くを費やしてしまっている。

 そして、甘えの意識と人事制度や報酬なども若干の差はあるものの、平等主義の共存となっており、割に合わない制度となっている。

 こういった障害や問題点が、企業内での起業を行うことの失敗の共通要因となっている。

 今回のコラムは、いつもと違った視点からの論点であるが、企業内新規事業があまりにも多くの企業内でうまくゆかず、ここ数年よく相談にお越しいただく企業間で共通していることをあげさせていただいた。
 社内起業はどうすれば成功するかは、これまでのいくつかのコラムを参考にしていただきたい。

投稿者: 吉井 日時: 17:14 | パーマリンク

第25回 インターウォーズブランドマネジメント

2000年11月01日

 ここ最近、当社で縁のあった方々の就職先の会社や、インキュベーション先の現場を訪問し、深厚を深めることにできるかぎり時間をさいている。インキュベーションフィールドを跳躍台にして、第一線で活躍している人たちの現場へ出向き、卒業生(当社を通じて転職、起業した方々)の声に耳を傾けることは非常に重要なことであるからだ。
 インキュベーション事業会社の経営責任者(CEO)として、人材をコアに展開しているインターウォーズブランド管理は重要な仕事であり、そのブランドとはインキュベーション先企業の成功であり、そのサーチは現場に働いている一人ひとりの表情に現れる。インターウォーズにとって卒業生は最重要な顧客でもあり、ブランドの源泉である。
 私の役割はブランドマネジャーと同じでもある。
 ブランド力を高めるには、卒業生がインターウォーズとの縁に誇りを持つようにしなければならず、卒業生の意見を聞き、常に企業ビジョンと「個人」が生かされるマッチング革新を続けるようクライアントの経営者に働きかけてゆくことが、非常に重要な要素であり、我々の事業にとってのアフターフォローと思っている。
 年々増える卒業生からの便りや、会食の機会を通じ、彼らが語ってくれる当社のあり方や、インキュベーション論は大きなエネルギー源となっている。

 私はリクルートの人材事業に永年従事し、「人と仕事、そして会社と関わり」から、インキュベーション事業のコアを発見したことによりこの事業を構築し、人のモチベーションを大切なファクターとして、今日の独自のインキュベーション事業を創造してきた。ベンチャーキャピタルでなく、人材紹介会社でもない当社の独自のビジネスモデルは、スタート(1995年)時は、理解されにくかった。
 しかし、これまでの6年の歳月の中に、育った多くの事業と卒業生のパワーが生み出したそれぞれの事業の「成果、結果」はインターウォーズブランド評価に至っている。
 スタート時思い抱いたインターウォーズのインキュベーションビジネスモデルが、社会にインパクトを与え、元気な人と会社を生む源泉になればといった志が実現されたかの答えは、成果と結果が全てである。

 インタウォーズは、現在企業1000社以上、そして多くの卒業生ネットワークを抱えている。彼らがインターウォーズに何を期待し、どんな人材を輩出し、どんな企業をインキュベートしてほしいと考えているのか。これに応えるのが私共の使命だと考えている。
 そうすることで、インターウォーズから卒業したメンバーは社会で通用するパスポートとなる。私共は、会社の利益だけを考えて仕事をしているわけではなく、日本に「本当のインキュベーター」が増えれば結果的に「インターウォーズブランド」も上ると考えている。
 当社のインキュべーションモデルを、今後できる限り多くのインキュベーションに関心のある皆さんに、開かれた「道場」として、技やポイント等を伝えたいと願っている。

投稿者: 吉井 日時: 17:13 | パーマリンク