
大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。
現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事
第42回 You have to figure it out
2001年07月15日
過日、日経産業新聞に出島(当社のインキュベーションシステムスペース)の卒業メンバーで、株式会社エンダスの川勝君の立ち上げたネット配信サービス事業が、大きくとりあげられた。
彼は、銀行退職後、ベンチャー企業に参加し、その後独自の起業を目指し、大阪から単身上京した。短期間で、独自のコンセプト、経営計画をまとめ上げ、市場リサーチを手際よく行い会社を立ち上げた。 出島に集うアントレプレナー達は、それぞれに個性が強く印象的な起業家が多い。彼のようにエネルギッシュで、強引だが、正直で愛嬌のあるタイプはそうはいない。 彼と共に過ごした期間の中で、印象に残るキーワードは、「自分で考える」人! とにかく独自の目線で物事を見つめ、「考えた」明解な意志ある意見を、常に持っている。 彼と議論していると、多くの人と意見がぶつかる。しかし、議論が白熱し、エネルギーが発揮されることによってプランが深まってゆく。そして、コンテンツある企画が、回を重ねるたびにブラッシュアップされ、多くの人を巻き込み完成度を高めてゆく。自己の思いを考え抜いた頑固なまでの企ては、強い力を持った言葉となり、波紋を広げ進化してゆく。彼のような独特の考えをもっているスタイルは、多くのアントレプレナー達に共通する。
独自の考え方を持たなければ、起業は、始まらないのかもしれない。
時々、当社に来社された方々から「よく、こんなに多くの様々なビジネスのインキュベーションができますね」と関心を持たれ、いろいろ具体的な質問をされる。 「インターウォーズは、起業家の皆さんの事業を作るプロセスを助けることであり、経営上の一番いい答えを出す為のサポートをしてゆく会社です」と答えている。
強烈な思いを持った起業家がいて、はじめてインキュベーションプロジェクトはスタートしてゆく。インキュベーターとして、未来の成功を見つめ、可能性に賭ける案件に取り組み、投資してゆく。その際、その起業家という「人」を信頼して決断する。人を信頼することは、私はプロセスを評価することだと思っている。結果を評価することはたやすいし、誰にでもできる。プロセスを評価し、目利きとして、その人間力を信じ判断し、サポートしてゆくことが私の仕事であると思っている。
起業には、アイディアを形にしてゆくプロデュース(資金、人集めを含め)力、ビジョンを共有化して一丸となったメンバーを顧客との接点にエネルギーを集中させるマネージメント力が不可欠である。そして、日々の一つひとつの小さな創意工夫の積み重ねが、成果として現れる。
未来の成果は、今は見えないが「自分で考えぬいたプロセスから生み出してくる言葉」の中に見えてくる。

投稿者: 吉井 日時: 17:27 | パーマリンク
第41回 ベトナムで出会ったビジネスマン
2001年07月01日
6月上旬、カオスの街ベトナムのホーチミンに行ってきた。オートバイと自転車に跨った人々が、信号機のない道路を、とぎれなく川のように流れ、道脇には牛や鶏が歩いていた。また、永年フランスの領地にあったせいか、フランスパンを売っている姿が街のいたるところに見うけられ、忽然とニューヨークを思わせるような高層ビルが立っている。蒸し暑い日中汗を流した夜、在住の日本ビジネスマンと「バーバーバービール」を飲んだ。Iモードの画面を見て「おたまのようだ」と驚きながら、現地の話を聞かせてくれた。
彼は、3年程前までは、英語もベトナム語もまったく話せなかった。学校にゆく時間もお金もない中で、当地のガールフレンドを通じて言葉を会得とのこと。「今では日常の生活には事欠かないが、自分のベトナム語は女言葉で現地のスタッフを注意してもどうも迫力がなくなめられてしまう。」と苦笑しながら話してくれた。今のベトナムで起こっている経済の出来事は、ほとんど「爆発変化」で、猛烈な勢いで日本に迫っている。月給3000円~7000円の労働者が、真剣に自分の人生を自分でハンドリングしながら必死に生きている。そしてベトナムの庶民達の、人権や命の軽さ、様々なリスクの中で生き抜いてゆく気構えや技術を語ってくれた。彼の発する言語の一言一言には、迫力があった。自分の所属している会社の対する評価や不満を聞くことなく、今、自分が向き合っている世界と、どう呼吸を合わせるかといった現場の話に終始した。 組織に頼っても誰もベトナムでは救ってくれない!理屈でなく体で理解し、人が生きてゆく上での「人間力」を感じた。
社会インフラも会社組織も整備さていない環境は、その人の持っている潜在的な力を引き出すのかも知れない。様々な人との瞬間のような出会いから、その人に応じたソリューションサービスを手際よく対応してゆく姿は、自立した人の強さと頼もしさを見る思いがした。
自分の「人間力」で、仕事を創り上げ「MADE IN 自分」である彼のような姿が、これからの日本にもっと多く出現してくればこれからの未来は明るくなるのだと思う。
別れる際、オートバイにまたがり「お元気で!」と爽やかな笑顔で走り去った姿が、脳裏に残った。

投稿者: 吉井 日時: 17:26 | パーマリンク