
大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。
現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事
第65回 リーダー
2003年05月01日
「変革」が、時代のキーワードとなった。組織を変革するには、最も重要な要素はリーダーである。勝ちつづけている組織は、管理運営されてなく、リーダーによって導かれている。桜が満開の4月14日ホテル新潟で、20年来公私ともに親しくさせていただいていた福田組社長の福田実さんの葬儀があった。福田さんは、新潟のゼネコンのトップカンパニーとして、4000億のグループのトップであり、経済界のリーダーでもあった。成熟した業界で、常に事業変革にチャレンジし業績を伸ばし、最近ではトヨタ生産方式による業界初のコストリーダーシップを取り、話題を呼んでいた。 福田さんは、100年の歴史ある企業体質を、生産性の高い変革スピリッツによって第三期創業時代として会社を大きく創り変えた。 福田さんの理念は明解で、ビィジョンを描きシンプルな目標を設定し、結果を公平に評価し、きちんと説明するので、皆が安心してついてきた。そして、常にどの競争相手よりも早く新しい環境に組織を適応させ、前進させていく変革者であった。ITを活用し誰からもよく見える体制を創り、入院した病院からも亡くなる直前まで、自らメッセージを各位に送り問題に取り組んでいた。幹部や社員のやった仕事を管理するだけの経営者が多い中で、数千億を超える企業経営者としては異彩だったかもしれない。また、「トップは日々、顧客からも、取引相手からも常によく見える存在でありたい、だから社長就任にあたってパーティでなく直接こちらから挨拶して回りたい」と現場を歩き回った。以前、亀戸の複合商業施設のサンストリートを紹介した際、「誰がどんな思想でこの施設を創ったのか」と熱心に尋ね、そのプロデューサーと面談を私に求め、共に会食したこともあった。福田さんは、いつも少しはにかんだ笑顔で、率直に、相手の知性に敬意を払い正直に意思表示していた。数年前、私が招待したミュージカルを観た後に論評してこられ、議論したことがあった。自分の真意をあいまいにごまかす表現や二枚舌は決して使わない人で、真意を伝える大切さを学んだ思いがする。
そして何よりも、指導者には「情熱」が不可欠であり、毎日、毎時間、勝つために部下や仲間を駆り立て、「情熱」を愛することが大切なんだと、そして、人は皆、勝者になる為に働き、勝ち組に入りたいと思っている。「勝とう、実行しよう、チームを組もう」「理念を持ち、ビジネスとは勝つことを目指した競争であり、実行するには速いスピードと効果的にこなせるだけの技量が必要である。そして、組織として統一的に明快に前進しなければならない。」ということを、語り実際体で示してくれた。
私にとって、親しい付き合いの間柄にも関わらず、常に緊張感を与える存在であり、自分のもっている上質の情報を伝えたくなる人であった。リーダーが不在の昨今、惜しいリーダーがこの世を去ってしまったが、福田さんの蒔いた種と残したDNAを大切に育てていきたい。

投稿者: 吉井 日時: 18:06 | パーマリンク