
大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。
現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事
第89回 「資産」
2005年05月01日
過日、新卒で日本を代表するメーカーに入社したが、社内留学制度でアメリカに留学しMBAを取得すると、2年後に年収が上がるのでとあっさりと外資系のメーカー企業に転職した人から、転職の相談を受けた。まだ転職したばかりなので、その理由を尋ねると、「最近、自分と同世代のライブドアの堀江さんはじめ、ベンチャー企業の若いトップ達のファンドに関わるニュースが頻繁に出てきて、自分はモノ創りの会社にいて、これでいいんだろうか?」と焦りを感じるとのことであった。一気呵成に企業を成長させ、一攫千金を夢見る気持ちは、解かる。しかし、最近、資本の論理だけの目線から、経営拡大やキャリアアップを進めようと行き過ぎているように思うことがある。経営もキャリアの基本は土台があって、成り立っている。この基礎のトータルな力なくして、ファンドやマーケッター、そしてビジネスマネージメントに向き合ってゆくと、瞬間花火のような状況に陥ってしまうことがある。すべての企業の営みは、現場で行われている。現場で生み出された成果が、あるから営業の仕事がある。大学で学んだマーケティング理論で、商品は生まれず、当然ヒット商品を創造できない。マネーゲームに走ることなく、モノ創りを深く理解した人が、マーケットに向かい、ファンドを活かし、マーケティングを展開した結果、生命力を持った商品がヒットし、結果として力強いキャリアが創られる。
今から、2年程前、当社の運営する会で、マッキンゼーを退職してベンチャーを起こし、
赤字で苦しんでいた経営者に、「何故そこまで頑張れるのか?」と質問した際、「自分でこういう事業があれば便利だと思い、多くの人に言ってやり始めたので、やめるとかっこ悪いから!!」と、さらりと言った。そして、今年の2月公開を果たし、この会社の時価総額は、1200億を超えた。
マネー先行の世界の人達を否定する気はまったくないが、目に映る表面の世界だけでなく、その背景や土台、根に目を向けて、長期の目線から事業やキャリアを形成して欲しい。この5月の長期連休にあたって一度、じっくりと本来の豊かな「資産」を見つめてみたらどうだろうか!

投稿者: 吉井 日時: 18:24 | パーマリンク