
大学卒業後商社を経て、1979年リクルートに入社。企業の事業戦略を推進する為の人材情報誌事業に携わり、新宿支社長をはじめ、首都圏の営業部長、新規事業開発部長を勤める。
現在は、日本初のヒューマンリソースを活かしたインキュベーション事業会社インターウォーズ株式会社の代表取締役。各企業の30を超える事業開発インキュベーションや自治体の新産業創出のアドバイザーや講演活動等を行っている。事業創造大学客員教授 ニュービジネス協議会理事
第96回 「不退転の決意」
2005年12月01日
11月5日、国内初の男子プロバスケットリーグ「bjリーグ」が、東京、仙台、大阪で開幕した。東京の有明コロシアム会場では、試合中DJが音楽を流し、MCはマイクを離さず、タイムアウトにはチアリーダーが登場し、観客と一体化したアメリカのNBAを彷彿させる華やかな開幕であった。 今から5年前、「ファンを喜ばせるバスケがしたい」と、元全日本監督から相談を受けた。日本にプロのバスケットリーグを創りたいとの夢溢れる事業構想の話に、心動かされた。市場は500万人のバスケ愛好者人口を有し、世界では4億5千万人いるといわれており、アメリカのNBAを頂点に50ヶ国の国ですでにプロリーグが運営されている。しかし、日本では、プロ化されることなくここまできただけに、様々な障害が予想され、難易度の高い事業構想なので、当社のインキュベーション支援として踏み切るべきかの決断に迷った。
新たな事業を成功に導くには、市場を始め様々な要素が求められる。そして、その成功要因は、何よりもその事業開発を牽引する「人材(起業家)」にかかっている。私はインキュベーションに取り組む際、信頼できる起業家(アントレプレナー)がいないかぎり決断はしない。多くの企業で、企業内新規事業が成功しない要因として、暗黙の「社命」のような形で事業推進者に押し付けた結果、その人材にも、その家族にとっても、そしてその企業にとって決して良い結果をもたらさないことを知っている。新規事業に取り組むということは、そのリーダーに「不退転の決意」が求められ、とりあえず取り組んでみて、小さな困難に直面しただけで、駄目でしたでは済まされない。己の人生と命を賭ける、「覚悟」と「気概」がなければ、新事業開発は成功しない。 企業において、よく「新規事業計画」と言う言葉が使われる。新しい事業とは計画通りいかないものであり、何が起こるか解からない事件との遭遇の連続が、新規事業開発である。だから何を信じて、投資を含め、支援するかの決断は、起業人に賭けることが最大の要素となる。
バスケプロリーグを立ち上げる前のある日、元全日本監督と、二人でじっくり話す機会があった。「私は、全てを失ってもやりたい」と静かな語り口で、決意に満ちた言葉を聴いた。道は拓け、プロリーグはできると感じた瞬間であった。その後、日本協会JBLから、離れての立ち上げとなり、様々な問題解決の連続であったが、11月5日 東京、仙台、大阪で日本初のリーグが、華々しく開幕した。
新規事業の成功の大きな要素は、誰がやるか、そして、そこに誰が集うかにある。
そして、社会の役に立つ事業であれば、夢は叶う。
これを機に、日本のスポーツエンターティメントビジネスの幕開けになればと願っている。

投稿者: 吉井 日時: 18:30 | パーマリンク